Translation of lyrics

巷(ブログ等)によくある歌詞の和訳が気に入らなかったので、自分で考えて書いてみることにした。


Saosin - "Seven Years"

Lyrics - http://www.azlyrics.com/lyrics/saosin/sevenyears.html

 

7年間が過ぎ

聖霊は去っていった

僕の力を試し、狂ったように蹴って

僕はずっと試していた

君と戦うためにただ押しのけて進むばかりで

今はごめん、自信が持てないんだ

胸の内を明かして

物語が終わる

 

僕は道を見つけた

(彼の目に穢れはないと伝えて)

僕は君のいない道を見つけた

(彼の目に穢れはないと伝えて)

その過ちは黄金だった

でも君のいない道は、僕には決してできないことだった

目を釘づけて、7年間感情のないものを売って

そして涙を流したから

 

7年間、君は僕を信じこませた

従っていれば大丈夫だと

君と戦うためにただ押しのけて進むばかりで

今はごめん、自信が持てないんだ

胸の内を明かして

物語が終わる

 

僕は道を見つけた

(彼の目に穢れはないと伝えて)

僕は君のいない道を見つけた

(彼の目に穢れはないと伝えて)

その過ちは黄金だった

でも君のいない道は、僕には決してできないことだった

目を釘づけて、7年間感情のないものを売って

そして涙を流したから

 

僕に構うな、僕が悪い(ごめん、自信がないんだ)

かつて僕が君を責めたみたいにしないでくれ

解釈について

   "The Scarlet Letter"と内容が酷似している[1]ことから、ボーカルのアンソニーが体験した7年間[2]とそれを照らしあわせて書いていると思います。歌詞中で 書かれる一人称はThe Scarlet Letterの登場人物であるディムスデール(Dimmesdale)とアンソニー自身で、二人称は神。アレゴリーを用いて、アンソニー自身の信念の不安定さと、完全に据わらない信仰心をディムスデールの姿に投影しています。

 

   調べたもののうち少しだけ紹介します。

  • 「7年間(Seven years)」とは、The Scarlet Letterの物語が7年間であることと、アンソニーの過ごした7年間をかけています。
  • 「自信がもてない(I'm not sure)」はディムスデールが優柔不断であったことを、アンソニー自身に映しています。
  • 「胸の内を明かして(Getting off my chest)」はディムスデールが自らつけたスカーレットレターの"A"を見せながら自分の過ちを告白する様子です。アンソニー自身の信仰の不完全さを晒す様子を表しています。
  • 「(彼の目に穢れはないと伝えて)(Tell him his eyes see too clear)」は意味が難しいです。[1]では、"神がディムスデールの中に正義を見ている"と解釈しています。小説では、ディムスデールはヘスターと恋に落ち姦通を犯して、最後に自らの罪を告白してヘスターの腕の中で息絶えます。つまり、神なしの生き方(way without you)を見つけたが、それはできなかった(something I could never do)ということです。それでも、彼の中に正義はあると言っているのです。ここは物語のテーマとなるLegalismや神の赦しに関わる部分で、アンソニー自身が信仰についての心の葛藤として共感したのだと思います。

[3]で書かれている内容を引用します。

"Here is the excerpt from an absolutepunk.net interview with Saosin in 2003:
Interviewer: Is Saosin a religious/christian band?
Anthony: No. I was raised Roman-Catholic so there was a lot of that symbolism around my house, I just used that symbolically really, I consider myself a spiritual person, but I have nothing to do with Christianity or Catholicism, or anything religious. I haven't been alive long enough to really pin down something that I believe in yet.
"

"Seven Years"が収録された"Translating the Name EP"は2003年6月にリリースされているので、ちょうどこの頃のアンソニーにとっての「信仰」への問いとして歌ったのだと思います。

 

   "The Scarlet Letter"は1995年にアメリカで映画化されていますが、Wikipediaを見る限り原作と少しストーリーが違うように見えました。アンソニーが小説と映画どちらを参照していたかわからないので正確な解釈は少し難しいと思います。

 

   僕としては最も根源的な動機からくる気持ちや考えを、周囲の人や環境に左右されず素直で正直に表せることが素晴らしいと思います。ディムスデールの姿に自身を映したとき、きっとアンソニーはそれまで自分が抱えていた複雑な気持ちに正直でいていいのだと気づいたのではないでしょうか。

 

date: 2016/04/05(Tue)

 

[1] http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858486745/

[2] https://www.ultimate-guitar.com/forum/archive/index.php?t-766998.html

[3] http://circaboard.com/?showtopic=3170